トミー・ジョン手術について

3度目の右肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け814日ぶりの復帰をしたヤクルトの館山選手。

トミー・ジョン手術の「先進国」といえる米国でも、3度の手術からメジャーに復帰した投手はほとんどいません。

今回は「肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)」について書いていきたいと思います。

投球回数が増えると肘への負担が度重なり、肘の内側にある内側靱帯(尺側靱帯)に炎症が生じます。

炎症が長引くと靱帯組織が次第に弱くなり、しまいには靱帯が断裂してしまいます。

内側靱帯UCLは肘が外反しないように防いでいます。

プロ野球投手が肘靱帯再建術を2回受けるとパフォーマンスが低下し、選手寿命が縮む可能性が研究で明らかにされています。

2回目の肘靱帯再建術(断裂した尺側側副靱帯を再建する手術)の後、再度メジャーリーグレベルの投球ができるまで回復した投手は65%であり、そのレベルを維持した期間は平均3年以下で投球イニング数はほぼ半減。

フォアボールによる出塁を許した数は9イニングにつき4.02から4.79へと増加し、勝ち数は半分に低下したとの報告があります。

その一方で、復帰2年目には故障前の球速が戻り、3年目には故障前を越える成績を残すことが多いことが統計学的に示されています。

それだけでなく、この手術を経験した投手は加齢による衰えが手術未経験の投手よりも緩やかであるとしています。

はじめてこの手術を受けたトミー・ジョンは33歳で復帰を果たすと46歳まで現役を続け、その間164勝を挙げています(通算では288勝)。

尺側側副靱帯の傷害は、投球速度や関節の動きに加え、肘内側の酷使と過度のストレスによって起こると考えられています。

「2回目の手術後は、投球数の厳密な調整、登板減少、腕の持久力不足などが、成績および投球量に寄与する可能性がある」といわれています。

手術の成功率は90%近いと言われていますが、逆を言えば10%ほどはマウンドに戻れない可能性があるということであり、実際に手術後に復帰できなかった選手もいるのです。

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