体格と打球速度の関係性

野球というスポーツにおいてピッチャーの投げたボールを打者がホームランにしたり、ヒットにするためには何が必要なのでしょうか。

野球において勝つためには点を取ることが重要であり、点を取れば試合が盛り上がります。
ボールを遠くへ飛ばすためにはボールに大きな衝撃を与え、大きな初速を与えることが重要です。
そのために重要となるのがボールをとらえるときのバットのもつスピード、つまりスイングスピードです。

最近では、スポーツ栄養学やスポーツ医学などの発展により、トレーニングや食事が以前よりも進化し、野球選手の体格が良くなっています。
野球においてホームランバッターと言われる打者は体の大きな選手が多く、彼らが打つ打球はとても速くなります。
打球速度が大きいことで、より遠くまで飛ばすことができ、野手の間を抜く可能性が大きくなります。
速い打球を打てることは野球においてとても重要な能力です。
この打球速度と体格にはどのような関係があるのでしょうか。

体重と打球速度に関係性がある理由には、①体重の重い選手は筋肉の絶対量が大きいこと、②体重が重いほうが、重心移動によって大きな力を伝えることができることの2つが考えられます。

大学の現役硬式野球部員に、T台を用いてボールを打ち、その打球の速度を防球ネット越しのスピードガンを用いて測定しました。この測定を5回行い、最も大きな数値を今回使用しました。
この打球速度を用いて身長、体重、BMI指数との関係性を探りました。
結果として、身長と打球速度の相関関係は0.423で中程度の正の相関が見られ、体重と打球速度の相関関係は0.433で中程度の正の相関が認められ、BMI指数と打球速度の相関関係は0.216で低い正の相関が認められました。また、身長と体重の相関関係は0.744で高い正の相関が認められました。
身長と打球速度に関係性があることの理由には、①身長の大きな選手の方が、構えた段階で身長の低い選手より大きな位置エネルギーを持っていること、②一般的に身長の高い選手の方が低い選手より足が長いため、重心移動できる距離が長いことの2つが考えられます。
体重と打球速度に関係性がある理由には、①体重の重い選手は筋肉の絶対量が大きいこと、②体重が重いほうが、重心移動によって大きな力を伝えることができることの2つが考えられます。

筋力・パワーを養成するには、高負荷・低回数制のトレーニングが有意であること、筋肉を肥大化させるためには超回復が必要であることを考えると、打球速度を大きくするためには、高負荷・低回数制でトレーニング後に24~48時間の休息をとってトレーニングを行うという方法が効率が良いと考えられます。

しかし、身長と体重の間に関係があることも考えなくてはいけません。身長と体重の相関係数は0.744で高い正の相関が認められました。つまり体重と打球速度の間に正の相関があるのは、身長と打球速度の関係で述べた原因の影響もあるということです。
BMIと打球速度の間に低い相関関係しかなかったのは、体重を身長で2回割ることにより打球速度との相関が低くなったためだと考えられます。
身長が高いほど打球速度が大きくなるということ、筋力が大きいほど打球速度が大きくなるということです。
筋力を決めるのには①DNAに書き込まれている生まれつきの要素と、②後天的、環境的な要素の2つの要素があります。
今回の研究では、遺伝的な限界まで筋力が発達している選手がいるとはまず考えられないので、今後も筋力を大きくすることは可能であるといえます。
筋力を増やすためには筋力トレーニングなどが有効ですが、筋力トレーニングは効率よく行うことが重要です。
筋力・パワーを養成するには、高負荷・低回数制のトレーニングが有意であること、筋肉を肥大化させるためには超回復が必要であることを考えると、打球速度を大きくするためには、高負荷・低回数制でトレーニング後に24~48時間の休息をとってトレーニングを行うという方法が効率が良いと考えられます。
体格と打球速度の関係を述べましたが、身長や体重だけが打球速度を決定するのではなく、技術的な要因も打球速度の決定に関わっていることも忘れてはいけません。

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